共同研究者
株式会社Area Japanは、IoTを活用したヘルステックのシステム開発、及び販売を主な事業としております。事業内容としましては、子供の見守りシステム、全世代を対象とした健康管理システムの2本が中心となっております。また広告代理店業務なども行っております。
本研究開発では、IoTを駆使した保育士の業務軽減、及び乳幼児の命を守るベビーテックのシステムとして、総合的な育児支援システムの構築と事業化を予定しております。
企業HP:https://areajpn.com/
社内の技術顧問から寄せられた、IoTを「モノづくり」から「コトづくり」に導入するという要望から始まっております。
コトづくりの分野から探しておりましたところ、子育て環境にIoTを導入することに様々なメリットがあるのではという着想に至りました。調査を進めていく中、特に保育園ではICTの導入率が低いことや、乳幼児突然死症候群が多発した時期があり、子供の見守りシステムが重要視されていると感じておりました。今回のIoTシステムの導入により、業務過多となっている保育園の業務軽減も目的としております。
今回、開発したデバイスは、通信機能にWi-Fiを使用し、温度・湿度センサー、うつぶせ寝センサー、加速度センサーを搭載しております。
これらのセンサーから得られるデータを用いて新しいアルゴリズムを開発し、センシング精度の向上を行っています。
開発したデバイスを装着することで、午睡中の寝姿勢の検知、体温測定、呼吸確認を行い、随時、状態をパソコン上で表示すると共に、必要に応じたアラート発信により保育士へ伝えることができます。
また、午睡中の5分毎の呼吸確認、入園時の体温測定などが記録できるので、それらの記録データを監督部署への提出書類に自動的に書き込むことができます。
これらのシステムを構築し、IoT等を駆使した総合的な育児支援システムの開発へと至りました。
開発したシステムを導入することで、5つの保育園業務の課題改善が見込まれています。
1. 加速度センサーとうつぶせ寝センサーによる午睡姿勢確認の改善。
2. 5分に1回の目視確認を、高機能MPUと雑音処理を実装した呼吸センサーによる呼吸確認の改善。
3. 非接触型温度センサーの温度精度を±0.2℃に向上することによる体温管理の改善。
4. 登降園時の時間管理を、Wi-Fiのアクセス検知を用いることで自動化した登園管理の改善。
5. 増大した書類作成業務に対し、開発システムのデータ蓄積・記録・書類化による書類作成業務の改善。
これらの改善がもたらす効果により、子供の安全と保育士の方々の業務負担の軽減が見込まれます。
先行した子供の見守りシステムはありますが、本研究で開発した1つのデバイスでいくつものデータを取得しアラートする製品は今までありませんでした。園児の命を守るために非常に機能的なサービスとなりました。
また、保育の現場においては、本システムによりデータ収集が自動記録されるようになり、午睡確認や測定した体温を記録する事務作業が軽減されておりますので、保育の質の向上にも寄与できました。
実証期間を経て、今後は保育園を対象としたサービスの開始を目指しております。
課題としましては、園児が装着するデバイスのサイズや装着方法の改善を検討しております。
今後の可能性につきましては、加速度センサーからの三次元データを用いたアルゴリズムを構築し、園児の寝入りと寝起きを判定できるようにしたいと考えております。これらを記録することで保育業務の更なる軽減が行えるようになります。また、成長予測などの開発も進めており、体温のデータなどを収集していくことでAIを活用した発熱・発育予測の研究もしたいと考えております。