Tokyo IoT ロゴマーク
Tokyo IoT ロゴマーク

支援事例(公募型共同研究)

株式会社 コニファ

VOC量を常時監視するloTシステムの開発
~VOCのリスクアセスメントでお困りの方へ~
  • 代表取締役
    堀 千佳子 様

企業概要

株式会社コニファは2003年に設立し、現在は東京都中央区に事務所を構えるシステム開発会社です。
主な事業内容は、インターネットを利用したWEBシステムの受託開発、ASPでの業務システムの提供になります。
製品やサービスの特徴としましては、お客様のニーズに合わせたASPのカスタマイズ、システムの提案から運用、保守までのワンストップの受託開発も行っております。
主な製品であるWEB受注システムについては設立当初から提供をしており、10年以上に渡ってお取引が継続しております。
また、環境の変化等に対しても、システムの変更を柔軟に対応しております。
IoTを含む業務システムには、WEBシステムをご利用いただいている企業様からのIoTに関するシステムのご相談を受けた所から始まります。その結果、段々とIoTソリューションへと繋がっていくことで本共同研究のご縁にも繋がっております。

企業HP:https://www.conifer.jp/

開発のきっかけ

研究開発のきっかけは、2016年6月1日に施行された労働安全衛生法の改正により、事業場における危険有害性のある化学物質についてリスクアセスメントが義務付けられたことによります。現在塗装業界においても健康被害を防ぐためにリスクアセスメントを行うことが求められており、作業環境評価基準としてVOC(揮発性有機化合物)の管理濃度が基準値を下回る事が求められています。しかし実際のリスクアセスメントでは、塗装工場の各塗装工程で日々刻々と変化するVOC濃度を特定の地点・期間で切り出して評価を行っているのが実態です。VOCは高濃度になると短時間の曝露でも急性中毒や火災、爆発等の危険性があり、低濃度においても長時間の曝露により重大な健康障害を引き起こすケースがあります。今回はこの課題に着目し、VOC濃度を複数地点で常時記録した上で閲覧や閾値発報を可能とし、普段現場でも気づかないリスクを効果的に評価でき、それが導入費用や運用の手間といった面において大きな負担にならないようなシステムの構築を目指しました。

開発の概要

塗装現場においてVOC量を把握することは、定期的または一時的に測定器を用いて把握できていても、個々の作業環境において変化するVOC量が有効に測定されているかわかりませんでした。
本研究では、常時計測したデータをサーバー上へ集約し、多数のセンサーから取得した情報をブラウザ上で可視化します。
これにより、VOCが高濃度になる場所、作業内容、時間帯を把握でき、効果的な対策を講じることができます。
また、対策の結果も効果的に測定できることから、不必要な排気や換気設備投資等の無駄を省くこともできました。
対策内容としても、工場毎で異なる環境に対応できるように、各工場、センサー毎にアラート発令のトリガー値を設定できるようにしました。
本体については、価格についてもできるだけ抑える事も目的としており、ASPサービスとして提供することでシステムの運用コストの低減も行っております。また、本体の通信手段は自立しており、面倒なネットワーク設定を必要とせず、設置が手軽に行えます。

概要図

概要図

導入効果

導入効果として、VOC値を常時監視するIoTシステムの開発から3つの研究成果が挙げられました。

1. 塗装現場の「今」を「常」に測定しているため、状態変化に対する要因と結果がすぐにわかるようになります。
これにより、作業手順の順守や改善、後からでは改善できない健康被害の防止に繋がります。

2. センサーに注意喚起や危険を示すアラートが搭載されていることで、それぞれの環境に応じたVOC濃度に達した場合、周囲にアラートすることで必要な対応を促すことができます。

3. 過去の測定データを利用することです。数日間でなく、長期間の測定データを解析することで事故の予兆を捉え、精度の高いアラート、注意喚起を行うことができます。
また、測定データのグラフ化からVOC濃度の変化を可視化することで、工夫による対策や、効果的な設備対策も行えるようになりました。

今、そしてこれから

今後の課題としましては、センサーの精度向上があります。
複数の塗装工場の実証実験から、使用する有機溶剤の種類や混合率の違いからセンサーの校正値が異なることがわかりました。今後も検証を重ね、ソフトウェアの改良を行っていく事でセンサーの精度を向上させていく予定です。
次に、用途の多様化についても考えております。現在開発を進めているIoTシステムは状態監視の機能をメインにしていますが、今後は様々な用途にも対応できるよう開発を進めていく予定です。
また、業界的にもVOC濃度を測定していくニーズを強く感じております。VOCを常時監視することで健康被害の防止だけでなく、作業者が安全・安心に働ける環境づくりにも繋がると考えており、それにより塗装業界の人手不足解消にも繋がると考えております。
最後に、顧客のニーズに応えていくためにも、販売網の拡大や装置の小型化等にご協力いただける企業を募り、運用や販促に向けた体制づくりも課題として取り組んでおります。

VOC量を常時監視するloTシステムの開発
~VOCのリスクアセスメントでお困りの方へ~