Tokyo IoT ロゴマーク
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支援事例(公募型共同研究)

Dari K株式会社

IoTを活用したカカオ豆需要予測システム開発

概要

販売店舗で、高品質でフレッシュなチョコレートドリンクをいつでもリーズナブルな価格で提供するためには、欠品防止、新鮮な材料の供給、過剰在庫防止、予防保全を行うためのシステムの構築が必要であると考えた。そのため、焙煎後のカカオニブを適切なタイミングで販売店舗に届けることにより、長時間在庫での酸化による風味劣化をおこさないようにするしくみの実現を目指した。チョコレート製造マシン(店舗で短時間にチョコレートが製造できるマシン)にIoT機能を付加して、稼働状況を把握し、得られた実績データからカカオニブの需要を予測するしくみと、機器を常に最適な状態で稼働させるための情報通知のしくみを構築した。

特長

  • チョコレート製造マシン(店舗で短時間にチョコレートが製造できるマシン)にIoT機能を付加して、稼働状況を把握
  • マシンの稼働状況を取得し、店舗でのカカオニブの消費・在庫状況の実態をデータとしての見える化を実現
  • 得られた実績データから、店舗でのカカオニブの需要を予測するシステムを構築
  • マシンの稼働実績データから、メンテナンス情報や、消耗品の交換情報を通知するためのしくみを構築
概要図

概要図

研究開発の取組内容

店舗で常に品質の高いチョコレートやドリンクを提供するためには、焙煎後のカカオニブの店舗在庫の期間を短くし風味劣化をなくす必要がある。そのためチョコレート製造マシン(店舗で短時間にチョコレートが製造できるマシン)にIoT機能を付加して、稼働状況を把握し、得られた実績データからカカオニブの需要を予測するしくみをつくり上げた。さらに、機器を常に最適な状態で稼働させるために情報通知のしくみを開発した。

効果・成果

●ゲートウェイの開発

マシンの稼働状況を取得し、データ通信を通してクラウドへ送信する機能を有するゲートウェイを開発した。

●クラウドシステムの開発

クラウドに送られたマシンの稼働状況から、販売店舗での消費・在庫状況の実態をデータとして見えるようにする機能を開発した。さらに、このデータから、各販売店舗でのカカオニブの需要予測につなげるための機能を開発した。

●通知システムの開発

クラウドに送られたマシンの稼働状況から、マシンを常に最適な状態で動作させるためのメンテナンス情報や、消耗品交換情報を、マシンのユーザーに対し通知するための機能を開発した。

●研究開発の成果

カカオニブの過剰在庫による劣化や欠品による販売機会喪失といった問題を解決した上で、美味しいチョコレートドリンクを作るための原料を供給し続けるしくみをつくり、今までにないチョコレートを楽しめる社会を創る一歩を踏み出せた。

今後の課題

今後マシンを国内外で社外販売展開していく際に、自社以外での設置環境やさまざまなユーザーの利用による動作に対応能な、操作性、機能および品質などを想定した商品・サービス設計が必要不可欠と考えている。

開発者のコメント・PR

開発のきっかけを教えてください。
美味しいチョコレートドリンクなどを提供するためには、可能な限り新鮮な焙煎されたカカオニブを提供することが必要です。そのため、店舗現場での製造加工量と販売量の両方の予測精度を上げていくことが大切となります。そのため、チョコレート製造マシンにIoT機能を付加してカカオニブの需要を予測するしくみと、機器を常に最適な状態で稼働させるために情報通知のしくみの構築を行いました。
開発したシステムのPRポイントを教えてください。また、他社製品との違いは何でしょうか。
マシンからのデータ取得だけでなく、取得情報の送り出しおよび解析を行った上で、最終的な焙煎・供給の指示を出すしくみが実運用に適したシステムとなっております。
御社としてこのシステムをどのような業種・サービスに展開していきたいと思っていますか?
食品製造・加工や調理家電を扱う業界に展開していきたいです。
御社の方針、今後の展望を教えてください。
現在開発中のマシンに当該技術を標準搭載し、弊社で製造したカカオニブを、多くのユーザーさま、消費者の方にフレッシュな状態のカカオから作るフードスイーツ、ドリンクを楽しんでもらえる事業を創出したいと考えています。
都産技研を利用して良かったことを教えてください。
開発にあたり、都産技研を利用することにより金銭的・技術的なサポートを受けることができた点です。

事業化に向けた取組

事業化の状況

マシンのプロトタイプについては、チョコレートの本場パリのサロンデュショコラへ出展した際に、多くのショコラティエやチョコレート愛好家の評価を得ており、また、日本放送協会(NHK)で当該取り組みを放映いただいた。今年中の事業ローンチを目指しマシン開発と商品・サービス企画を進行中である。

今後の見通し

マシンの技術開発やユーザービリティの向上とともに重要になってくるのが、導入後のサービスやメンテナンス体制であり、マシンから取得できるデータを元に、焙煎や供給タイミングを調整する以外の付加価値について検討を重ねている。実際に自社の店舗で本システムの現場運用を行い、スタッフからフィードバックを受けて改善を行うなど、実運用を想定した実証を継続している。

企業情報

Dari K株式会社

事業内容
カカオ豆の輸入・販売、チョコレートおよび菓子の製造・販売、健康食品などの企画・製造・販売
設立
2011年3月11日
企業HP
https://www.dari-k.com/