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支援事例(公募型共同研究)

朝日エティック株式会社

IoTを用いた屋外広告物メンテナンスソリューションの開発
~屋外広告物の遠隔監視で予知保全~
  • 技術開発センター
    課長
    佐賀 国弘 様
  • 取締役
    原田 誠 様
  • 技術開発センター
    担当部長
    島本 裕已 様
  • 技術開発センター
    課長
    服部 聡 様

企業概要

朝日エティック株式会社は、「気づく力で、未来を築く」を理念とし、暮らしと社会の架け橋を担うものづくり総合建設企業です。国内外に事業所と工場を構え、各事業所には約170にも及ぶ登録資格を持つ専門的な知識と技術を兼ね備えたプロフェッショナルが所属しています。
おもな事業内容としては、高い技術力を活かした屋外広告物やLED照明器具の設計/製造をはじめ、総合建設企業として、建設・製造・ITサービスの3つの分野に対して15の事業を展開し、すべての工程をワンストップで提供しています。
本共同研究で、ITサービス分野の1つとして、「IoTによる屋外広告物安全管理サービス」が追加されました。

企業HP:https://www.etic.co.jp/

開発のきっかけ

近年多発する看板落下事故を受け、各自治体で屋外構造物の点検や規制の強化が進められていること、また災害時の広告物の落下や破損はお客様や近隣住民の方からの連絡で事後保全がなされている状態で、迅速に対応できていないことが課題としてありました。
さらに、屋外広告物を取り扱う業者においても安心安全な街づくりへの責任があることと、メンテナンスを行う人間の高齢化や人手不足などの社会的課題を解決しつつ、本業で収益を上げるCSV(共有価値の創造)を推進していく必要があると考えております。これにより、IoTを用いた屋外広告物メンテナンスソリューションへの共同研究開発への応募と至りました。

開発の概要

電池駆動の小型無線センサーボックスを屋外広告物に設置し、広告物の状態を長期間に渡って常時遠隔監視することで、構造劣化などの状態を把握、予知しタイムリーな予知保全が可能なシステムを開発しました。傾斜や劣化破損、照明機器であれば故障や不点灯など複数の現象を検知することができ、災害時に破損や故障が生じた場合は速やかに事後保全します。
センサーボックスの開発には、屋外広告物の劣化や故障に関する複数の現象を検知するため、スマートフォン等に用いる安価な汎用部品や汎用センサーを組み合わせて開発しました。さらに、高所作業等による電池交換コストを下げるには10年以上の稼働を実現する必要があるため、状態監視タイミングの最適化、送信回数の削減を実施し、省電力化を行いました。
また、センサーボックスの機能を最大限に活かすために様々な検証実験を重ねています。全国に300台以上のセンサーを設置して行う大規模概念実証や、工場敷地内に実験用の看板を設置し、倒壊が予測される状況を再現した倒壊実験では、倒壊に至るまでの微細な傾斜の推移を把握でき予知保全のデータを積み上げることができました。
このように大規模な実験を実施し、それらのデータの裏付けによるアルゴリズムは本サービスを差別化できる重要な技術です。

概要図

概要図

導入効果

IoTによる屋外広告物安全管理サービスを適用することで、10年間毎日、屋外広告物の傾斜、劣化・破損、照明機器の故障・不点灯、内部鉄骨部の錆、意匠面の回転、面板の破損/汚れ/色褪せ等の状態の遠隔監視を可能としました。これにより、屋外広告物のタイムリーな予知保全を可能とし、安全性を高めつつ維持コストを低減可能としました。また、台風や災害による破損や故障が生じた場合にも、アラートメールの発信や早期の状況確認など速やかな事後保全を可能としています。更に、本共同研究の成果やの展開は、屋外広告物のみならず屋外構造物全般の予知保全の浸透を加速するものと考えております。

今、そしてこれから

直近では中層以上の屋外広告物への導入を進めていく予定です。ゆくゆくは屋外広告物だけでなく屋外構造物全般への適用を検討しており、すでに道路灯を視野に入れた基礎実験を進めています。
IoTを用いて、お客様の屋外広告物を常に安心安全で、誘目性や広告効果が高いベストな状態に保ち続けられるサービスになったと自負しております。今後はサービスを提供しつつ、ライフサイクルのコスト削減やダウンタイムの削減の検証を重点的に進め、システムの信頼性や予知保全精度のさらなる高精度化、高性能化を継続していきます。
また、今回得た開発スキルは、新しい分野やアプリケーションにも応用ができると考えております。具体的には公共インフラや農業分野への参入を計画中です。

IoTを用いた屋外広告物メンテナンスソリューションの開発
~屋外広告物の遠隔監視で予知保全~