『HAKUSANの技術で、たくさんの安心を!』これが私たちのミッションです。地震計測技術と時代の先端技術とを融合させ、独創的な製品やサービスで新しい価値の創造に挑戦し続けています。
防災事業分野では『世界の地震防災に貢献』をスローガンに掲げ、国や大学などの研究機関や民間企業の皆さまに多くの防災システムと機器をご提供しています。
『おもしろいモノ創り』にチャレンジし、働ぎがいの高い会社をつくり、持続可能な社会づくりにも貢献していきます。
10年程前、国研・防災科学技術研究所と共同して、スマートフォン向けの地震計アプリを開発しました。このアプリは既に16,500以上のダウンロードをいただいています。更に、2016年度に東京都「防災情報を付加した街づくり」として、ポータブルメディアプレイヤー300台を家庭内に取り付けて実証実験を行いました。このプロジェクト終了後の2017-2018年にはクラウドサーバーの増強やアプリケーションの開発などを行いました。これらの変遷を経て、今回の都産技研の事業では専用デバイスの開発およびIoTシステムとして完成させることを目指して取り組みました。
第一期では、IoT専用デバイス(実証実験機)の開発と民間企業による実証実験を行いました。
損保、建築、不動産、電力、賃貸住宅、通信などの事業者の方に興味を示していただき100台の実験機による実証実験を行いました。そこでは「Wi-Fiの通信安定性」「設置や取付上の不具合」「時刻同期」などの課題が判明しました。
第二期では製品としてのデザイン性も取り入れた製品試作機を開発し、引き続き実証実験を重ねました。ここではSIM内蔵による通信安定性の向上、非常用電源の内蔵、実験により得られた知見を反映したマニュアル類の整備、IoTとしてのセキュリティの検証などを行いました。特に、都産技研にはセキュリティ面での知見や評価、プロジェクトマネジメントにご協力いただきました。
これらを経て製品版として事業化への段階に至ることができました。
阪神淡路大震災を契機に、全国にリアルタイム地震観測網が整備されました。現在では約4,300か所から震度速報が発信されますが、これは各市町村の代表地点の地表の揺れを示すものです。
私たちが体感する地震の揺れは、同じ市内であっても地盤の固さや、建物の構造、階高、耐震性などによって大きく異なります。
今回開発した地震観測システムはピンポイントでの計測を可能とし、的確な情報に基づく初動対応に役立てることができます。多点観測に関する様々なニーズに関するソリューションとして社会に広がることが期待できます。
現在、複数の企業へ、お試し検証という位置づけで有償で貸し出しを行っており、ニーズを確認しながら付加価値を高めている最中です。
本格的な事業展開の際はサブスクリプション方式での提供を予定しています。事業として大きく伸ばすためには、加速度計としての機能だけでなく、非常時にどう使うかというソリューション面での付加価値を高めることや、使用目的に応じたデバイスのコスト低減についても課題であると認識しています。
また、将来は国の震度観測網(約4300台)の1桁~2桁上を行く増加を目標にしています。ニーズを感じている多くの民間企業や公益インフラ事業者が集まり、知恵を出し合い自然災害プラットフォームが構築できれば、夢を現実に変えることができると確信しています。