株式会社N sketchは2012年5月に創業し、UI/UXを主軸としたITのデザイン、最先端のAIとIoTを使ったシステムの開発やコンサルティングを請け負っております。また、Webサービス以外にもスマートフォンのアプリケーション、組込みシステムや展示システムといった様々な領域にも関わっており、デジタル分野におけるデザインとエンジニアリングをテーマとしたモノづくりに関わる会社となっております。
デザイナーとエンジニアを両輪とした様々な自社開発を強みとしており、ユーザー体験を通した使いやすさを突き詰めております。
企業HP:https://nsketch.com/
創業当時からIT事業とアパレル事業を運用してきましたが、ここでの経験が開発のきっかけになります。メーカーとしては製品を開発し、量産して流通させるのが一連のフローになりますが、これに対して試行錯誤をしていくなかで、量産から流通に係る在庫管理が重要な課題であると痛感してきました。アパレル事業に限らず、ネットショップから工場に至るまで、商品や資材における物の管理はとても難しい問題となり、どうすれば解決するのかを常に考えていたところが始まりになります。在庫管理の仕方はハンディーターミナルやRFIDを用いたものがありますが、導入費用が高いなど、大企業向けのサービスが中心でした。不要な機能が多いことや、使いこなせないという問題が出てしまうなど、より現場の人が使いやすいものがないかと思い、「数える」に特化したシンプルでかつ、導入のしやすい在庫管理IoTデバイスとアプリケーションの開発に至りました。これにより、IoTデバイスを作ることをきっかけとし、公募型研究に応募する流れとなりました。
研究開発では、数えるサービスとしてnancoを開発しました。
在庫管理の入力をWebやスマートフォンはもちろん、専用のIoTデバイスでも実現します。IoTデバイスはUI/UXを突き詰めた形となっており、LCDディスプレにボタンが+と-の2つしかありません。在庫が増えたときは+ボタンを押し、在庫が減ったときには-ボタンを押して表示された数字と在庫数を合わせることでクラウドにデータが同期されます。
Wi-Fiモジュールを搭載しておりますが、乾電池で駆動し、省電力にこだわるなど、電源部分には注力しました。
また、各デバイスへの初期設定も一般的なBluetooth通信ではなく、スマートフォンのディスプレイを活用した可視光通信を使う方式を提案しており、より直感的な操作で初期設定を行うことができます(特許出願中)。
収集されたデータについては、Webやスマホアプリ上で管理、編集が可能となります。紙とペンを使うよりも簡単であることを意識し、現場の負担を極力抑える、作業の流れを変えない、ハンズフリーで誰でも使えるシステムとなっております。
nancoのサービスを導入することで大きく分けて3つの効果があります。
1つ目は、今までデジタル化が難しかった現場の数値をデータ化できることにあります。
在庫管理はもちろん、人の往来や作業の「数」など、現場の知りたい情報をクラウドに同期しやすいサービスを提供したいと思っています。
2つ目は、勘や経験だけではなく、データを見て分析し計画できるようになることです。数の履歴や増減の推移を確認・編集できる管理画面も充実させていきます。
3つ目は、柔軟性です。本サービスはWi-Fiさえあればどこに置いてもデータを同期することができますので、倉庫のみならず、店舗やオフィスでの管理にも導入が容易です。また既存在庫管理サービスを導入している事業者様でも一部はアナログで在庫管理されていて、システムでの管理ができていない場合もよくみられますが、そういった場合でも一部の管理をnancoで行い、他のシステムと連携しやすくしていきたいと思っています。
ハードウェアのIoTデバイスは量産が開始されており、技術的な課題は解決してきたかと思いますので製品化を見通せてきております。今後はソフトウェア面での課題の解決に力を入れており、デバイスがなくても在庫管理できるようにWebサービスとアプリケーションの開発を進めております。主に在庫管理の機能として、分析や運用に関わる連携の作りこみを進めております。サービス化においては、このソフトウェアの部分を次の山場として取り組んでいます。
販路の課題としては、BtoB向けのサービスになりますので、マーケティングのオートメーション化であったり、展示会への遡及などを計画として進めており、このサービスをどうすれば知ってもらえるかを一番の課題として解決していきたいと取り組んでいます。
今後の可能性については、町工場やアパレルメーカー、店舗を持っている状況でデジタル化が進んでいないスモールビジネスの分野がターゲットとなるかと思います。ECサイト等の事業拡大への足がかりに繋がる事を期待しており、我々のサービスがその一端になれればと思います。
また、モノづくりのメーカーとして商品を流通させることで、実際に使っていただいたり、フィードバックから改善していくのを楽しみとしております。このサービスを展開していくマーケティングのアプローチについては不慣れな事が多いのですが、試行錯誤や成功と失敗を重ねながらも進んでいきたいと思います。