マグロの脂質含量は目視・相対による方法で目利きされており、精度と時間に問題が発生している。そのため、近赤外分光を用いた科学的評価による適切な流通システムが必要であると考えた。近赤外マグロ脂質含量測定装置をIoT化することにより、科学的評価とデータ活用技術を組み合わせ、「食の安心安全」と「流通の合理化」の実現を目指した。
マグロの脂質含量は味を決める要素の一つであるが、従来、流通現場では脂質含量は目視などにより判定されてきた。価格影響の大きい脂質含量値を偏りなく科学的に測定すること、さらに産地から市場への迅速な情報伝達が望まれている。そのため脂質含量測定装置をクロマグロの脂質含量測定に対応させ、この装置をIoT化し、測定したマグロ品質情報と魚体画像をクラウドへ転送するシステムを開発した。また開発したシステムは産地と市場を模試した形で検証試験を行った。
近赤外マグロ脂質含量測定装置をIoT化することにより、「食の安心・安全」の実現の可能性が確認できた。
近赤外分光により瞬時に脂質含量を評価、測定結果を品質情報としてクラウドに転送する。
迅速流通によって新鮮な食材提供を可能とするシステムの検証ができた。
クラウドにアップロードされた過去漁獲に関するデータを活用することができる。
IoT化によるマグロ品質情報取扱いは、特殊な業界でもあり、産地・市場に抵抗があり、参入が難しい部分がある。
しかし、科学的評価は、農業(果実糖度選別)、畜産業(和牛脂肪酸によるブランド化)で「食の安全・安心」のために利用されており、水産業においても、今後、必須となるものと考えている。
漁業関連団体との連携を推進するなどして進めていきたいと考えている。
研究を行っている中で、装置の環境評価試験を行ったところ課題が発見された。そのため装置の改修を含めて検討が必要であると感じている。3月末までにはカタログを作成し、ホームページへの掲載を検討している。まずは水産業をターゲットとして、お客さまの反応を伺いたいと考えている。
まずは、商品のカタログを作成し、お客さまの意見収集を行いたいと考えている。その後、意見を元に、改良などに取り組みたいと考えている。また、ターゲットをマグロだけに絞っていたが、今後は国内で養殖されている魚においても事業を展開できないか検討をしていきたい。