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支援事例(公募型共同研究)

株式会社相馬光学

近赤外マグロ脂質測定装置のIoT化

概要

マグロの脂質含量は目視・相対による方法で目利きされており、精度と時間に問題が発生している。そのため、近赤外分光を用いた科学的評価による適切な流通システムが必要であると考えた。近赤外マグロ脂質含量測定装置をIoT化することにより、科学的評価とデータ活用技術を組み合わせ、「食の安心安全」と「流通の合理化」の実現を目指した。

特長

  • 脂質含量測定装置の科学的評価により「食の安心・安全」が実現可能
  • マグロの品質情報をクラウドで迅速開示できるしくみを構築
  • クラウドによるデータの活用によって、過去漁獲情報を活用
概要図
概要図

概要図

研究開発の取組内容

マグロの脂質含量は味を決める要素の一つであるが、従来、流通現場では脂質含量は目視などにより判定されてきた。価格影響の大きい脂質含量値を偏りなく科学的に測定すること、さらに産地から市場への迅速な情報伝達が望まれている。そのため脂質含量測定装置をクロマグロの脂質含量測定に対応させ、この装置をIoT化し、測定したマグロ品質情報と魚体画像をクラウドへ転送するシステムを開発した。また開発したシステムは産地と市場を模試した形で検証試験を行った。

効果・成果

●脂質含量の科学的評価

近赤外マグロ脂質含量測定装置をIoT化することにより、「食の安心・安全」の実現の可能性が確認できた。

●クラウドによる情報迅速開示

近赤外分光により瞬時に脂質含量を評価、測定結果を品質情報としてクラウドに転送する。
迅速流通によって新鮮な食材提供を可能とするシステムの検証ができた。

●クラウドによるデータの活用

クラウドにアップロードされた過去漁獲に関するデータを活用することができる。

今後の課題

●科学的評価の推進

IoT化によるマグロ品質情報取扱いは、特殊な業界でもあり、産地・市場に抵抗があり、参入が難しい部分がある。
しかし、科学的評価は、農業(果実糖度選別)、畜産業(和牛脂肪酸によるブランド化)で「食の安全・安心」のために利用されており、水産業においても、今後、必須となるものと考えている。
漁業関連団体との連携を推進するなどして進めていきたいと考えている。

開発者のコメント・PR

開発のきっかけを教えてください。
マグロ脂質含量測定装置については、すでに水産研究所との共同研究により完成させていたため、その装置をIoT化し、水産業にとってさらに、有効な装置として販売を促進したいと考えました。
開発したシステムのPRポイントを教えてください。また、他社製品との違いは何でしょうか。
近赤外分光による脂質含量測定により、正確なマグロ脂質含量を測定することが可能です。さらに、現場で使用可能な防水型であり、測定結果をクラウドに簡単にアップロードできます。
御社としてこのシステムをどのような業種・サービスに展開していきたいと思っていますか?
水産業です。
御社の方針、今後の展望を教えてください。
当社は、分光器メーカーであり、非破壊、迅速成分分析が可能な、近赤外分光の開発を推進し、近年、牛肉などの評価に利用されています。今後、マグロをはじめ、その他の食品の評価にも利用されるよう推進していきたいと考えています。
都産技研を利用して良かったことを教えてください。
都産技研が持つ多くの知見を伝えていただきました。開発の道筋を立てていただくなど、多くのお力添えをいただくことができました。
株式会社相馬光学開発者

事業化に向けた取組

事業化の状況

研究を行っている中で、装置の環境評価試験を行ったところ課題が発見された。そのため装置の改修を含めて検討が必要であると感じている。3月末までにはカタログを作成し、ホームページへの掲載を検討している。まずは水産業をターゲットとして、お客さまの反応を伺いたいと考えている。

今後の見通し

まずは、商品のカタログを作成し、お客さまの意見収集を行いたいと考えている。その後、意見を元に、改良などに取り組みたいと考えている。また、ターゲットをマグロだけに絞っていたが、今後は国内で養殖されている魚においても事業を展開できないか検討をしていきたい。

企業情報

株式会社相馬光学

事業内容
光学機器、真空機器、分析機器、医療検査機器、画像機器、各種センサを使用した検査機器などの製造販売。および、前述の各種機器の輸出入、前述の各機器の組み合わせによる利用技術の開発
設立
1976年8月
企業HP
https://somaopt.co.jp/

近赤外マグロ脂質測定装置のIoT化