Tokyo IoT ロゴマーク
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支援事例(公募型共同研究)

東洋システム株式会社

露地での収量予測と最適灌水制御Alエンジンの開発
~農業従事者不足、収益改善でお困りの方へ~
  • 第3ICTソリューション本部
    ゼネラルマネージャー
    木嶋 雅史 様
  • 産学連携担当
    勝屋 宏一 様
  • ソフトウェア担当
    清水 崇弘 様
  • 代表取締役社長
    飯田 哲郎 様

企業概要

東洋システム株式会社は、基幹業務や生産管理、物流などのシステム開発、クラウドやERPなどのITを活用した各種ソリューションサービスを提供する独立系IT企業です。
東京都の立川を拠点として、「多摩発!先端技術でグローバルにチャレンジ」を合言葉に、新しい技術・システムの開発にも積極的に挑戦をしています。
地元の多摩エリアにおいて屈指の規模を有しており、多摩エリアに拠点を持つ一部上場企業の大手メーカー様をはじめ、幅広いクライアントに対して独立系IT企業の強みである系列にこだわらない最適なシステムの提案を行い、各種業務の効率化に貢献しております。
高いサービスと厚い信頼により、8割以上のクライアント様と長期にわたってお取引を継続させていただいております。

企業HP:https://www.toyosystem.co.jp/

開発のきっかけ

ITテクノロジーや社会環境の変化に対応するため、IoTの推進を行っております。
独自に開発したマラソン大会の計測システムでは、RFIDタグの活用、カメラやセンサーにより生体データの取得、分析の技術開発を行っており、これらのAI分析やIoT技術を開発しています。
変化が著しい農業分野や健康志向の高まりで注目されるヘルスケア分野へのサービス展開をすべく、東京農工大学との産学連携による共同研究や、多摩地域の産官学連携を推進する「ネットワーク多摩」との情報交換を行ってまいりました。
本研究では、その応用研究としての都市型農業の課題に着目し、農業従事者の高齢化や優良作物生産による安定的な生産量の確保、農業所得低迷の課題に対して総合的な解決を目指しました。

開発の概要

本研究は、露地栽培作物における灌水制御AIエンジンを開発し都市型農業へ実装することを目的として、主に下記3つの開発を行いました。

1. IoTセンサーから取得した情報をクラウド上で一元管理するIoTセンサー情報管理システムの開発。

2. IoTセンサー情報管理システムからワイヤレス給水バルブを制御するAI自動灌水システムの開発。

3. IoTセンサー情報管理システムの土壌環境データと生育状況の画像データを用いて、東京農工大学の収量予測モデルから機械学習アルゴリズムで判断させる農作物生育学習AIエンジンの研究開発。
画像データはスマートフォンで撮影したものを利用し、露地栽培作物の葉柄頸部の屈曲角度から生育状況だけでなく、土壌水分の状態も判断します。

概要図

概要図

導入効果

圃場での実証実験により、研究開発のシステムを利用することで茎が太く、草丈も大きく成長、収穫量も無灌水の圃場に比べ3倍の収穫量と、より多くなる結果となりました。
栽培以外の効果として、灌水のために圃場へ行く必要がないため、労力の省力化が実現できました。また、過剰な灌水作業もなくなるため、環境保全にも寄与できておりました。

今、そしてこれから

本研究は実証試験を重ねている最中のため、課題をまだまだ抱えております。課題のクリアと実証実験の成果から製品化を検討していく予定です。
課題としましては、製品の価格を抑えつつ土壌環境の違いに影響を受けない土壌センサーの選定、露地栽培向けに雨などの環境変化にも対応するための気象データの取り込みと灌水制御の向上も検討しております。また、画像データ取得のカメラについても定点カメラによるAIの精度向上、労力の更なる省力化、設備のコスト削減、そして一定の成果は収めているものの更なる収量予測の精度向上、収量増加を目指しています。
新しい農業分野での開発のため、販売網の開拓についても平行して進めていきます。
課題はまだ多いですが、今後の製品化に繋がることで他の作物への展開やスマート農業への期待の一端を担えればと思います。

露地での収量予測と最適灌水制御Alエンジンの開発
~農業従事者不足、収益改善でお困りの方へ~